よく喋る猫との暮らし

顔をくっつけて座る兄弟猫のおチュンとカル坊や 暮らし

「レトルト、食べる?」

私がそう聞くと、床でくっついていた二匹が、そろって顔を上げました。おチュンとカル坊やの兄弟です。続けて「マグロ? アジ? それともチキン?」とたずねると、チキンのところでおチュンが小さく口を開けました。声は出ていません。いわゆる「エアニャー」です。この短い動画をSNSに載せたところ、思いがけず、いつもより多くの反応をいただきました。

おチュンとカル坊やが顔をくっつけてエアニャーする画像

よく喋る猫、おチュン

おチュンは茶虎の毛長猫、カル坊やはクリーム茶虎の短毛猫です。私が留守のあいだは二匹きりでお留守番をしているので、いつも一緒にいます。動画の中で顔をくっつけて同じように動いていたのも、たぶんそのいつもの距離のままなのだと思います。

二匹のうち、とにかくよく喋るのはおチュンです。四六時中、何かしら話しています。おねだりのときも、遊んでほしいときも鳴きますし、何か伝えたいことがあるときにも鳴きます。それも、声を出すだけではありません。私の手を甘噛みしたり、髪の毛を踏んだり、寝ている私を前足でペシペシ叩いて起こしたり。何かしら行動を起こして、私とやり取りをしようとします。ごはんを食べたあとにも、満足したのか、こちらを見て鳴くことがあります。カル坊やもよく喋りますが、おチュンはそのさらに上をいく「おしゃべりな猫」です。

ねことの暮らし

話しかけると、返事をする

おもしろいのは、話しかけると必ず返事が返ってくることです。名前を呼ぶと鳴きます。顔を見ても、目が合っても、そのつど鳴きます。まるで会話が続いているような感覚になります。

一般には、大人の猫どうしはあまり鳴き合わないと言われています。鳴き声は、もともと子猫が母猫に何かを伝えるためのもので、大人になると猫どうしではあまり使わなくなるそうです。それが人と暮らすうちに、人へ向けた合図として残った——つまり猫の「鳴く」は、その多くが人に向けたコミュニケーションだと考えられています。そう知ると、おチュンのおしゃべりは、私に向けて一生懸命に話しかけてくれているのだと思えて、なんだか嬉しくなります。

ねこはたの家は、みんな喋る

返事をするのは、おチュンだけではありません。先住の猫たちも、外から来た二匹も、みんなしっかり返事をしますし、よく喋ります。

というのも、ねこはたの家では、家族みんなが動物にも人間と同じように話しかけるからです。猫たちも、それが当たり前のことだと思っているのかもしれません。私には、こちらの言葉にちゃんと耳を傾けているように見えるのです。

返事は、信頼のあらわれ

話しかけて返事が返ってくることに、特別な意味づけをしているわけではありません。ただ、これは猫たちが私たち家族を信頼してくれている印だと感じています。猫は警戒心の強い動物です。その猫が声で応えてくれるのは、私たちを安心できる相手、一緒に暮らす仲間だと思ってくれているからではないか。そう思うのです。

猫は人には分からない気配を感じ取る、と昔から言われます。本当のところは分かりません。ただ、私が体調をくずしているときには、それを察しているのか、いつものわがままを我慢して、そっと隣に来てくれることがあります。猫のゴロゴロにも、人の緊張をやわらげるリラックス効果があると言われています。理由をぜんぶ説明できなくても、猫といる時間は、私にとってふしぎと落ち着くものです。同じ人間と過ごすよりも、猫と過ごす時間のほうが、私は穏やかでいられます。

話しかければ、返事がある。私には、そのやり取りのひとつひとつが、毎日の小さな支えになっています。

猫が人に向かって鳴くのは、その多くが伝えたいことがあるからだと言われています。だとすれば、おうちの猫が鳴いたときは、ぜひ声に出して返事をしてみてください。私の家では、そうやって小さな会話のような時間が続いています。そんな時間を重ねるうちに、猫との距離も少しずつ縮まっていくように感じています。

おチュンとカル坊やの「エアニャー」の動画は、Instagramの投稿やYouTubeショートで見ることができます。また、猫たちとの不思議なご縁については、『動物が私を選んだ日』にも綴っているので、気になる方はチェックしてみてください。